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アドバンス・ケア・プランニング2018.03.03 Saturday
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JUGEMテーマ:がん全般
平成30年3月3日秋田魁新報 聴診記
「アドバンス・ケア・プランニング」について
コラムを書きました。
以下原文。
ドバンス・ケア・プランニング 自分の考え家族に話すことから
数年前に父が肺炎で亡くなりました。以前から父は「無意味な延命治療はしない」「静かに逝きたい」と話していました。私たち家族は「そうなの」「分かった」と応えていました。
ある日の早朝、両親を介護している妹から電話がありました。重症の肺炎による意識消失、呼吸不全、ショック状態で救命センターに搬送されたのです。医師から「どうしますか」と妹に聞いたのです。人工呼吸器を装着して昇圧剤を使用すると、一時的な延命は図れます。しかし気管内挿管を行うと、今後会話など一切できなくなる可能性があります。回復したとしても、再度肺炎になることは明らかでした。
「お父さんは人工呼吸器の装着を望んでいないと思う」「私もそう思う」
父は集中治療室に入室し、懸命な治療により一時意識が戻りわずかな会話が可能になりました。妹には「大曲の花火が一番良かった」と語ったそうです。しかし肺炎は悪化し、私が駆け付けた2日後に病院で永眠しました。亡くなるまでの数日間は、母が付き添うことができ、薄れていく意識の中で二人の時間を過ごすことができ、母は満足したようでした。
厚生労働省は先月23日、「人生の最終段階における医療に関する意識調査」の結果を公表しました。病気や事故、老衰などで治療を尽くしても回復が見込めない時に、本人や家族はどのような医療やケアを受けたいかなど、全国の男女6千人に尋ね973人が回答し、周囲と話し合ったことがあると答えたのは39・5%でした。
人生の最期を迎える場所を決めるのに考慮する点を複数回答で聞くと、「家族らの負担にならないこと」が73・3%で最多。続いて「体や心の苦痛なく過ごせること」(57・1%)、「経済的な負担がすくないこと」(55・2%)の順でした。
人生の最終段階において、自分自身が望む医療を受けるためには、これから受ける治療やケアについて、自分の信頼できる人や医療従事者と話し合っておくことを「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」と言います。
今回の調査では、ACPを実施している病院は23・6%でした。厚労省はさらに普及させていく方針で、本県でも導入する病院が増えると思います。
もしもの時、病気の治癒が困難になった時など、その後の人生は何を目的として過ごしていきたいのかは、本人の意思を確認し、尊重すべきだと思います。元気な時にこそ、自分の考えを家族と話し合っておいてください。
(はしづめ・たかひろ はしづめクリニック院長、秋田市)
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