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がん100万人の時代へ2018.10.06 Saturday
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JUGEMテーマ:がん全般
平成30年10月6日(土)秋田魁新報「聴診記」
がん罹患について投稿しました。
日本全体で100万人、秋田県では約1万人ががんに罹る時代です。
以下本文です。
国立がん研究センターは先月14日、2014年に新たにがんと診断された患者数が約86万7千人に上ったと発表しました。同時に、18年には男性57万4800人、女性43万8700人、合わせて101万3600人が新たにがんと診断されると推定しました。
がんの部位別でみると、全国では男性が胃、肺、大腸、前立腺、肝臓の順で多く、女性は乳房、大腸、胃、肺、子宮の順でした。男女合計では前回2位だった大腸がんが、胃がんに代わり1位となりました。
一方、本県の状況については15年のデータが既に公表されています。県がん登録部会がまとめた地域がん登録集計報告によると、本県では15年の1年間に約9500人が新たにがんと診断されたと推定されます。部位別では男性が大腸、胃、肺、前立腺の順に多く、女性は大腸、乳房、胃、子宮の順でした。男女共に胃がんが減少し、肺がんが増加傾向を示しています。
国立がん研究センターの統計(14年全国がん罹患モニタリング集計)でみると、人口10万人に対する本県の部位別がん年齢調整罹患率は、胃が男女共に全国4位、大腸は男性が1位、女性が2位。年齢調整がん死亡率は、本県の男性が全国2位、女性は13位。中でも胃がんは男性3位、女性1位、大腸がんは男性3位、女性5位であることから、胃がんと大腸がんの対策が特に重要と考えられます。
胃がんの発症率が高い地域の特徴として、食塩摂取量の多さと喫煙率の高さが挙げられます。本県でも、伝統的に魚や野菜を塩漬けにして保存食としてきました。がん研究センターが男性2万人を10年間追跡調査した結果、みそ汁や漬物、タラコや明太子などの塩分の高い食品を毎日食べるグループは、胃がん発症のリスクが塩蔵魚卵は2・44倍、塩辛は3倍以上になったと報告しています。
胃がんを引き起こす細菌であるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、胃の中にいます。高塩分の食品は胃の粘膜を塩漬けにし、粘膜の防御機能を弱めてしまうため、結果として胃がん発症の原因になると考えられます。全国的に胃がんが減少傾向にあるのは、ピロリ菌の除菌が一般的になってきたことも一因です。
大腸がんの発症については、食生活が肉食に偏り欧米化が進んでいることや、飲酒習慣などが関係しているとされています。
日本人の2人に1人ががんになる時代です。食生活を見直すこと、禁煙すること、受動喫煙させないこと、がん検診を受けること。そして2次検査の場合は、医療機関で精密検査を必ず受けることで「健康寿命日本一」を目指したいと思います。
(はしづめ・たかひろ はしづめクリニック院長、秋田市)
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