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12月30日(土)秋田魁新報「聴診記」2017.12.30 Saturday
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JUGEMテーマ:がん全般
平成29年12月30日秋田魁新報「聴診記」
本年のがん対策についてコメントを投稿しました。
以下全文です。
がん対策 一人一人の行動重要
間もなく2017年が終わり、新しい年を迎えます。今年は皆さんにとってどんな年でしたか。私は最後に、今年のがん対策について振り返ってみたいと思います。
国は今年10月、新たに第3期がん対策推進基本計画(17〜22年度)を策定しました。06年の第1期計画策定時に設定した10年間の目標「がん死亡率20%削減」が達成されなかったことや、就労や患者支援などがんに関する新たな課題が明らかになったことから、内容を見直したものです。
第3期の全体目標は「がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す」。これに▽科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実▽患者本位のがん医療の実現▽尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築−の三つが設定されました。
がん予防では、がん検診と共に受動喫煙対策が重要です。しかし、たばこ議員連盟の反対などにより、受動喫煙対策を強化する法案はまだ成立していません。子どもをはじめ国民の健康を守る法律への取り組みが不十分なのは残念なことです。少なくとも公共の場所や家庭などでは、受動喫煙のない秋田になってほしいと思います。
がん医療の充実においては、がん診療拠点病院の要件の中に支持療法などがん医療提供体制の整備が追加されました。また再三問題になる免疫療法などに関しては、「がんが消えた」「保険が利かない最新がん治療」などの宣伝には規制が入ると思われます。がん治療は標準治療が最適な治療であることを理解してください。
本県には国をリードしている事業があります。一つは医師やがん経験者による中高生への「がん教育」です。もう一つは、抗がん剤治療で起きる脱毛に悩む患者向け医療用ウィッグ(かつら)や、乳房切除に伴う補正具に対する助成事業です。これは今年4月にさかのぼって実施され、同事業を活用した患者さんは大変喜んでいました。
がん対策は国や県が単独で行うものではなく、一人一人が実際に行動しなければ効果が上がりません。国は関係者の連携強化、がん患者を含めた国民の努力を求めています。私もできるだけ新しい情報を提供していきたいと思います。
年末年始に家族が集まった時、自分はどのように生きていきたいのか、がんや病気になったらどうしたいか、人生の終わりはどう迎えたいのか、少しだけ話し合ってみてください。よい年をお迎えください。
(はしづめ・たかひろ はしづめクリニック院長、秋田市)
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管理者の承認待ちコメントです。| - | 2017/12/30 1:08 PM |
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